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名冑・面具の部

鎌倉鉢

​古星兜(鎌倉鉢)

総面

ー現在、甲冑部分品の名称として「総面」と書かれることが多いが、本来は「面包」といっていたものである。面部全体を護るために用いられたと一般的に解されているが、戦場での実用性には問題がある。何よりも視野が狭く活動的でない、総面包(以下総面)の本来の用途は所用者の相貌を隠すためである。

山内一豊が高知城経営の見廻りに際して総面をつけたというのが代表例のひとつであるが、上杉謙信が出戦に際して伎楽の面を用いたというのも鉄製目面ではないが所用目的の発生縁起として参考になる。敵味方の大概に人相を識られないようにするために総面を用いるということになれば、実戦場に使用されたということもまたあながちに否定はできない。しかし現存する真物の総面はその殆どが江戸中期以後の実用期を離れた時代のものであって、本作のような室町〜戦国期に遡る古作総面の遺品は極めて少ない。

○江戸期総面の特徴を簡単に説明すると、第一は威嚇的表情をとるものが多い。その結果面部全体の打出が誇張され派手になる。しかし両眼の刳りは丸く小さい。具象的な耳がつき、後ろへ張り出す。総体に鉄の重ねが薄い。要するに江戸期の総面は本来大名の高級な甲冑に附属させるために製作されたものであるから実用品ではなく床の間の飾りもの的性格が強い。従って甲冑師にとっては工芸技術の見せ場であったから凝った作品が多いが、史的感興を催させることは乏しい。解説:井伊達夫−『ふくいゆかりの名宝たち 里帰り文化財展』(平成27年10月)より

総面
大鎧
変わり兜

​変わり兜

腹巻
阿古陀兜

阿古陀兜

(​以上、井伊達夫採集写真資料)

​関連資料

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