赤備え-武田と井伊と真田と-

平成19年刊

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京都の宮帯出版社から、井伊達夫著 『赤備え‐武田と井伊と真田と‐』が出版されました。自著『井伊軍志‐井伊直政と赤甲軍団‐』『井伊家歴代甲冑と創業軍史』の重要部を引載、さらに現在入手困難となった赤備え関係の旧著書類を再録し大幅に加筆改訂、また新発見・未発表の赤具足が満載の充実した一冊です。他に付録として「稀代の軍師・岡本半介」が書下ろされた、赤備えの決定版。

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赤備え-武田と井伊と真田と-[普及版]あとがき

 徳川創業の功臣である井伊直政の一代を軍事史を中心に『井伊軍志』と題して上梓したのは平成元年のことである。これはこれはそれ以前に十年程前滋賀県の刊になる『湖国と文化』という季刊文化誌に連載したものに加筆したものであるが、この本は私の歴史研究ものとしては代表作とみられているようで、私もそのことには異存がない。この井伊軍志執筆中しばしば思っていたことは、この中からわが国における唯一の特殊軍装である「井伊の赤備」を抜き出して他の赤装軍団のことも加稿し、資料写真をのせて独立させたら、それはそれで資料的に貴重なものができるのではないかということであった。そのことは思いながらも、念頭を去り、また思いが脳裡に宿るということを繰り返し、雑用に追われる日々の舞台は彦根から京都へ移って、それからまた何十年が過ぎた。

 そんな中、宮帯出版社の代表宮下氏を知ったのはこれも不思議な縁で、そんな宿願に似たものを話したら「それ、出しましょう」という事になった。

 その事から離れて何十年も経ってから、思いがとげられるという経験を私は他の場合でも何度も経験している。背後霊ではないが、何ものかが私の背後に憑いて私をコントロールし、導いているような気がする。近頃頓にその思いが強い。この何者かが仕事をさせてくれている。ずっと憑いていてもらいたい。

 さて本書の誕生の契機については本版にもそのまま載せられているので重複はさけるが、初版の出版部数は二千部であった。「赤備え」といっても”知る人ぞ知る”のマイナーな世界のことであるから再版されることはないだろうと思っていたら思いの外の完売となった。今度価格がさらにやすい普及版が出るという。いいことである。赤備えのことが単に甲冑や歴史ファンだけでなく、一般人の常識になる日もそう遠くないかも知れない。

 

平成二十三年二月吉日

井伊 達夫

[新刊書紹介]

赤備え-武田と井伊と真田と-

藤本鞍斎(日本甲冑武具研究保存会会長)

 まずは出版を祝します。私と井伊(中村)氏との出会いは、三十四年程前、山田紫光氏からの連絡で彦根市の井伊氏所蔵の「篆字螺鈿の鞍」を調査のため訪問した。調査後、彦根城に案内され、城と展示の甲冑武具類を拝観したが、まるで自分の城のごとく精通した案内であった。
 今思えば、井伊家に関する全国一の研究と調査はすでに始まっていたのである。
 氏は文筆に優れ、北日本新聞社の「越の老函人」(井上靖選)で北日本文学賞を受賞していた。続いて「彦根藩公用方秘録」で第一位金賞を受賞し、「異聞勝川の鎧」(選者は柴田錬三郎、川口松太郎、村上元三)でサンデー毎日新人賞候補となり、その後も続々発表している。歴史作家に成ってもと思った。前おきが長くなったので本題に入る。
 巻頭カラー写真で具足四十点、兜六点、鞍鐙から馬印等五十八点を解説付きで載せ、個人所蔵以外の大部分は伝来と所用者が明記されている。
 第一章武田の赤備え、軍団の構成と武備については、裏付けに古文書を多く載せて説明してあり、武田氏の軍事支配図、信玄公の旗本備えの図、山縣三郎兵衛昌景隊旗本の図から構成と組織が良く理解できる。
 余談であるが武田家旧温会の名誉顧問武田昌信氏(信玄公十五代の裔)が八月に逝去された。会長の山縣寛氏は山縣昌景の裔で、副会長は二名で、私(藤崎十郎行長の裔)でその一族の内に築城で井伊家に貢献した早川氏がいた筈である。
 天正十年武田家は滅亡するも、各地の武田遺臣は武田軍団としての経歴をかわれ、井伊家・成瀬家・水戸徳川家・尾張徳川家・徳川家(将軍家)・上杉家等に仕官したが、一番多く召抱えたのは井伊家であった。
 第二章井伊家の赤備え、侍大将井伊直政と附属の臣僚群の「天正十年以後の附属士衆」をみて、武田旧温会の知名の人と同姓で一族と思われる方が多数居ります。今の軍隊では迷彩の鉄帽と軍服で敵に所在を隠すが、下克上の時代は敵や見方の目につく様にした赤備えは最良の備えであった。九月二十九日国体の開会式が秋田市で天皇・皇后陛下の御臨席をいただき行われたが、秋田県の選手団の赤の上着が一番目だった。
 赤備えを集大成した井伊達夫氏に称賛をおくります。

[『甲冑武具研究』第159号(平成19年11月)より転載