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★講演会報告


「井伊直弼の虚と実-史的雑話として-」

兼ねてより予告しておりました井伊館長の講演会が11月15日鯖江市まなべの館に於て午後2時より開催されました。これは鯖江市制六十周年記念事業の一環として企画された特別展「間部詮勝の時代」というテーマにそった記念講演です。 これ迄とは大きく異る大老井伊直弼の実像、誤伝された虚像、そして黒幕長野主膳・宇津木六之丞の存在、そこへ重ねて間部詮勝の政治的壮志と反骨。 公衆トイレの先蹤となった京における辻便所。これを作らせたのは所司代時代の詮勝で、下情に通じた逸話のいろいろを直弼大老の一本気と精神的な脆さの中に交えて、窮屈な政治イデオロギーの積算話でない2時間の「史的雑話」でした。

(左)古い仁丹広告のある京都町名案内版を示し、そのはじまりが京都所司代間部詮勝の発企にあることを説明する館長

追記 11月19日 鯖江市「まなべの館」の講演担当の方からのお手紙の一部を紹介します。 …井伊直弼を取り巻く長野・宇津木のお話、「桜田門外の変」でのエピソード、幕末における武家所有甲冑のエピソード等、館長ならではの講演内容に、参加者たちも聞き入っていました。 「また、来ていただきたい」と何人もの方がリクエストしてお帰りになりました。また、機会がありましたら、ぜひご講演をお願いいたします。 このような反響と御連絡は講演者本人にとって大変有難いものでしょう。彦根の昔話、特に武士の逸話については、直弼や主膳はもちろん幕末、維新生き残りの侍たちの咳唾に直接接した縁者の方々からの実話ですから、今や最も彦根史話に詳しい故老となった館長にとっても、元気なうちに出来るだけ広く多数の人々に知っておいてもらいたいという義務感があるようです。甲冑武具における故実や実話も同様、出来るだけ「虚」と「実」を検分し覚知してゆきたいとの事です。(2014.11.16)

謝辞 この展覧会では当館協力による松陰辞世の初公開が話題を呼び、また大老井伊直弼の政務要録である『公用方秘録』の唯一の原本写本が伝存実体を明確にして提示されました。まことに意識の高い、意義ある展示会だと思います。「まなべの館」主管である鯖江市の関係者の方々の御理解、また同館々長浮山秀穂氏、参事前田清彦氏、学芸員藤田彩氏他皆様の御努力に深甚の謝意を表したいと思います。(井伊達夫)

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