★NHK BSプレミアム


英雄たちの選択

「無念なり!悲運の大老

~井伊直弼・開国への決断~」

      ―2015年4月9日O.A.―

      井伊直孝所用甲冑

感想少々。  予告のところでも申しましたが、この種の番組はある程度、企画段階から結論ありきで進められるものです。それ故に制作側は、いかに視聴者を、その方に興味を抱かせて引っ張っていくかに番組の成否がかかっています。拙家の『公用方秘録』がしっかりと紹介されていましたが、贅沢をいえばそこから更に一歩の踏みこみがなかったのが聊か遺憾でした。しかし、それも前記のことを思慮に入れれば当然なのでしょう。一歩を踏みこんでしまえば、その先は1時間や2時間では事済まぬ、まことにシリアスな直弼人物論になってしまい、収拾がつかなくなります。番組は楽しく面白くなくてはなりません。深刻は無用であり、避けるべきが常識です。その点でいえば実にうまく枠内にまとめられていたと感じました。プロとして当然の仕事といえばそれ迄ですが、これが並大抵でない仕事であることは、何度も取材される身に立ってみないと実感できぬことです。「無念なり」という拙『公用方秘録』中にある直弼の呻きがタイトル中のキーワードに用いられていたのは、流石プロの慧眼であると敬服しました。また、直弼の政治行動が、結果的に日本の外国支配による植民地化を防いだ――という大局的な見方は、従来の直弼番組にはみられない切り込み方で、それだけでも十分意義のある番組ではなかったかと思います。  出来得ればせめて拙子存命の内に、人間直弼の真実をそのままに伝える番組が制作されることを念願しています。 〈番組制作の方々、特にドキュメンタリージャパンの皆様には、ご苦労様でした。  今後も更に意欲的な作品制作活動をされることを期待致します。〉 

(2015.04.11 井伊)

(写真画像は放送から)