井 伊 美 術 館
当館は日本唯一の甲冑武具・史料考証専門の美術館です。
平成29年度大河ドラマ「おんな城主 井伊直虎」の主人公直虎とされた人物、徳川四天王の筆頭井伊直政の直系後裔が運営しています。歴史と武具の本格派が集う美術館です。
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※当館展示の刀剣類等は銃刀法に遵法し、全て正真の刀剣登録証が添付されている事を確認済みです。
平成26年度 井伊美術館特別展
Red Armor
ー赤き兵どもの栄光ー
開催期間: 平成26年2月1日〜同11月15日
古来から赤の色は吉祥繁栄のシンボルカラーとされてきました。
武士のはじまりといわれる平氏が旗幟に赤色を用いたのもその典型的なあらわれです。
更に「赤」は降魔、除災、避難、等あらゆる凶事に対抗する吉慶色として強力な働きをするようになり、戦国の勇士はこれを自己の顕示と守護の色として用いるようになったのです。
赤装甲冑―いわゆる赤具足―は勇武と栄進のシンボル。矢玉の中を臆せず、ひたすら前進する者にのみ許された栄誉のシンボルカラーだったです。
この至極目立つ色柄の鎧を着用する者は、ある意味、一歩でも退いたら「さむらい」を捨てるほどの覚悟がなければならなかった―
「ひたすらの男道」を貫くための矜持です。桃山の華やかな色合いの裏には、義務的に課せられた死に狂いの実相があったわけです。
見せかけの奉平に安座し「乱」の時代を忘れ去った我々はかつての勇士の人生の「仕舞口」の覚悟を一度直視してみるのも大切ではないでしょうか。
一息截断(いっそくせつだん)を身命に秘め、表面はあくまで洒々落々の日々に韜晦した桃山の武将前田慶次郎の朱具足(泉鏡花旧蔵、石川県博出展以来18年ぶりの公開)をはじめ、北条氏ゆかりの朱具足、そしてご存知井伊家藩主の朱具足など、限られたスペースですが赤鎧を満杯にしてみました。常設部ではオールドスタイルの大鎧を、そして時代の比較のため金色絢爛の南蛮胴具足も合わせて展示します。
平成二十六年孟春
古兵部少輔歴代、掃部頭歴代のあとを偲びつつ
朱 鬼 舎 井伊 達夫